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  ■協会が提案する大規模災害への対応

● 熊本群発地震の発生  

 

2016年4月14日、熊本県阿蘇地方を震源地とする、マグニチュード6.5 最大震度7の熊本地震が発生した。また、4月16日には本震であるマグニチュード7.3 最大震度7強の大地震と大分県中部を震源とするマグニチュード5.7の地震が同時発生し被災地域が拡大することとなった。
さらに、震度5以上の余震の発生は、4月14日以来約1年後の2017年7月2日まで続き、総計25回もの多数の余震が発生している。
熊本県が集計した2017年2月8日までの集計データによれば、死者204名、重軽傷者2,671名、住家家屋の被害は18万6千棟に上り、その内訳は全壊8,651等、半壊32,478棟となっている。
県民の生命・生活の維持に必要なライフラインである電気、ガス、水道や公共施設は寸断され、県民の財産の損壊を含めると損失利益は3兆8,000億円に達するとも言われている。


● 中央構造線断層帯を震源とする近未来「伊予地震」の発生予測
 

熊本県もまた多くの県民が「熊本地方は地震のない地方である」という固定観念にとらわれていたと指摘している。今回の熊本群発地震の発生は、日本中どこでも、いつでも大地震の発生を免れることができないとの教訓を残した。
また、2016年4月16日に同時発生した大分中部地震は、その震源地が中央構造線断層帯の西端に位置していることで注目に値する。歴史的には中央構造線断層帯を震源とする地震は、約420年前の慶長年間まで遡らなければならない。1596年9月T日に「慶長伊予地震」、3日後の1596年9月4日に「慶長豊後地震」、その翌日である1596年9月5日に「慶長伏見地震」が発生している。「慶長伊予地震」が歴史的には伊予国・讃岐国を含んだ表記であると理解し、「慶長伏見地震」が京都・奈良地方を含むと理解するならば、「慶長豊後地震」は、大分地方のみならず熊本地方の一部も包含していたとも想像するほうが自然であろう。このことは、熊本群発地震が中央構造線断層帯を刺激しているのではと予見し、同断層帯を震源とする大分・愛媛・香川・徳島・和歌山・奈良・京都に連なる同時多発する大地震災害の発生をも想定して防災・災害対策の準備をしなければならないことを示している。

 

 ● 「前門の虎後門の狼」に立ち上がる地方自治体と県民
   愛媛県内の多くの地方自治体も愛媛県民も、これまで南海トラフを震源とするプレート境界型大地震を最大の脅威としてその防災・災害復旧の対策を行ってきた。
しかし、2016年4月14日熊本群発地震の発生により、瀬戸内海側で発生予測される「中央構造線断層帯震源地震」に対する備えも行わなければならなくなった。
佐田岬半島の北側瀬戸内海を並走し、道後平野・道前平野を縦断して愛媛県・香川県を分断する中央構造線断層帯は、そこを震源としてマグニチュード7クラスの大地震が発生すれば、想像を絶する被害を愛媛、香川両県にもたらすことになる。高速道路を始めとする道路網、鉄道など交通インフラや公共施設がこの地域に集中し、多くの県民がこの断層帯沿いに居住して日々の営みを行っている事実は、地方自治体も私ども県民もその対策を早急に講じなければならないことを示唆している。

 ● 今そこにある危機(公益社団法人公嘱協会の対応と役割)
   当協会は、17年前平成13年当時から南海地震に対する危機を訴え、災害からの早急な復興を実現するために県民の財産である土地の位置や境界を明確にした登記所備付け地図の整備の必要性を提唱してきた。
また、平行して実際に発生する災害をその規模により類型化して、災害対応の準備を行ってきた。とりわけ協会の上部団体である「全国公共嘱託登記土地家屋調査士協会連絡協議会」が監修し、2016年12月25日全国の協会に配布した「災害復興マニュアル」は極めて有効であるため、協会の社員のみならず社員外土地家屋調査士をも含めて研修会を実施することにより災害復興に携る者の裾野を広げてきた。
官公署が所有管理する公共用地や県民が所有する土地の位置、境界の復旧無しに災害復興を成し遂げることは不可能である。今後とも、当協会は防災・災害復興事業にまい進することにより、官公署、県民等不特定多数の者の公益の増進に寄与したいと考えている。
 
 南海トラフ大地震など大規模災害復旧にかかる時系列表
 
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